個性⇔マニュアル ~「お客様対応」のあるべき姿~

人は生活する過程で物やサービスを購入して生きています。 そうなると大抵の場合お店の店員から接客を受けることになります。 ※ここではネットでの購入やセルフレジは例外とします。 ぶっきらぼうな対応よりも心を込めたそれである方が嬉しいのは誰もが同じでしょう。 10年程前に中国の北京へ旅行した時、ふらっと入った中華料理屋で席に着いたものの 一向に店員が来る気配もなく「小姐」と呼んだら「もう閉店」だと追い出されたのを思い出しましたが、これも接客です。 ただ、当時の彼女らにお客様に対する対応という思いは限りなく無かったと推測しています。   先日受けた観光アテンダント研修の際にも、講師の方が「おもてなし」の精神を持つことの大切さを語られていましたが、 こと日本人においては「お客様対応」の水準は世界的に見ても高いことは自明の理でしょう。 物を買ったら丁寧に「有難うございました。」何か不備があれば「誠に申し訳ございません」は当たり前の事。 僕たちが幼いころから刷り込まれている表現方法とも言えるかもしれません。 さてここで、1つ着眼してみたいことがあります。それは、徹底したマニュアル対応の是非についてです。 前述したようにどのお店でも感謝や謝罪の表現が同じであるが故に、その表現に慣れきってしまっていますが、 本来あるべき姿から少しずれてしまっているようにも感じます。 言い方を変えれば、お客様に対する気持ちよりも言葉を並べることが先行してしまっているのではということです。 勿論、各企業、店舗におけるマニュアル教育を通じて、「丁寧さ」の面では優れた水準と言えると思います。 ただ一方で、金太郎飴じゃないですけど各人の独自性は無く、結果的に心が消えている面も否定できないように思います。   さて、先日少し面白い体験をしました。 僕の趣味の1つは1人カラオケなのですが、昼過ぎにとある店舗に入りました。 確かその店員さんを見るのは2回目だったと思いますが、非常に独特なタイプの人です。 まず強烈だったのが、1人お客さんが立っているのに特に対応している風もなくレジの横でカタカタしています。 そのお客さんが後ろに下がったので僕が「宜しいですか?」と声を掛けてみると、 「ちょっと待ってください。今一生懸命やってるんです。」と結構強い口調で返されました。 僕は呆気に取られてしまい、「他の方はいないんですか?」と返したものの「いません」との回答。 暫くして受付したのですが、その時には謝罪ありきで対応してくれたものの何か腑に落ちません。 まぁ、俗にいうテンパっている状態だったのでしょうが、一般的な接客としては完全に×と言えるでしょう。 たまたま僕も機嫌が悪くはなかったのでクレームを入れようとも思いませんでしたが、変わった人だなぁと思ったわけです。 さて、約1時間後に支払いの時はその店員も完全に落ち着きを取り戻したのか、やや過剰ともいえる感謝の表現を述べます。 どうやらこのお店には接客マニュアルは無いようで、個人に任せているんだろうと自己解釈し、店を出ました。 と、話はここで終わらなかったのです。 店に背を向けて歩いていると、「お客様ー。」と大声をあげて走ってくるその店員。 何事かと思ったら、ランチのポイントカードを渡し忘れたので届けてきたわけです。 その時、渡し忘れたという事はさておき、人としての魅力というかインパクトを感じました。   言うまでもなく、マニュアル化された接客水準から判断すると平均以下レベルだとは思います。 「客に対して言い返す」、「渡すべきものを渡さない」あ、あと思い出したのが途中で電話を掛けてきて 「間違ってお伝えしてしまいました…。あ、いえ間違ってませんでした。」と訳の分からない1人相撲を取るのは 完全にご法度行為で厳重注意レベルでしょう。(勿論人間ミスはあるのですが、ここまで重なるとね…。) ただ、多少のミスも含めて、その店員には「心」を感じることができました。 何でも完璧な接客からはもしかするとそういった「心」を込めた対応は得られないのかもしれません。 念のため付け加えておきますが、ミスを奨励するわけでは決してありません。 ただ、日本式のマニュアル対応だけに固執するとその人の個性が失われ、 結果的にお客様に対しての感謝の想いた伝わりにくくなる面はあるのではと改めて感じます。   正直、ここまで書いてはみたものの賛否もあるとは思います。 外国人からすれば恐らく日本のサービスは極めて高いという意見が多いでしょうし、 日本人の中にも、お客が予想のつかない接客をされるより、他と似たような方が余程気が楽と感じる人もいるでしょう。 とはいえ、Face to Faceで接しあう瞬間で、お客側つまり受け取る側が「ビビッ」「ドキッ」と来るような発信は 人の「個性」からしか出すことはできないと個人的には考えていますし、そこに本来の接客業の真髄があると思っています。 僕自身もオンラインが中心の商売ではありますが、如何にして自らの個性を接客に繋げるかを改めて考えなおしてみます。 先の店員のように、わざと(じゃないでしょうけど笑)ミスをして印象に残らせるのも一考なのかもしれませんね。   編集後記: とはいえ、個性を前面に出されると水準が低いサービスがまかり通るジレンマも抱えている面は否めないでしょう。 先日も利用したとあるホテルのサービスはやっぱり2流だなと思わざるを得ない面が幾つもありました。 少なくともその環境では、丁寧な言葉ではカバーしきれない人としての本質が現れているように感じます。 僕が主催者だったら間違いなく使うことはないだろうなと自戒の念も込めて今日はこの辺りで締めることとします。