浅田栄次生誕150周年記念祭

丁度約1年振りにこの偉人に関する記事を書くことになります。 その人の名は浅田栄次。明治に生まれ、日本の英語教育の礎を築いた人物です。 古典諸語や旧約聖書原典研究に勤しみ、シカゴ大学では開学以来初の博士号を受け、 その後東京外国語大学にて教鞭を振るい、多くの逸材を送り込みました。 少し残念なことに、世間一般ではそれほど知名度が高くありません。 49歳という若さで亡くなったということと生粋の研究者であり著作等残すことを 重視していなかったことも理由なのではないかと推察しています。   この度執り行われた記念祭では「浅田栄次に還れ」というテーマが軸となりました。 TPP締結が好例ですが、グローバル化、国際化と言われるようになって久しい時代となりました。 ただ、これはモノやヒトの移動といった日本と外国が密接な関係性であるだけでは本質から外れています。 その国の言語のみならず特有の文化や規律を理解しようとして初めて本当の意味のグローバル化が浸透する。 このことは、かつて浅田栄次がエスペラント語を世界言語として普及させようと尽力した時とまさにリンクします。   彼はその当時以下のようにスピーチをしていました。1906年のことです。 「東京外国語学校の最大の特質は友愛と調和と平安であります。英国人、フランス人、ドイツ人、ロシア人、 イタリア人、スペイン人、中国人、また韓国人が一つの屋根を共にするような家屋は何処の世界にあるでしょうか。」 第1次世界大戦が数年後に始まる世界情勢下で彼は強い憂いを覚えていたのだと思います。 エスペラント語が世界言語になることは叶いませんでしたが、彼の神髄を僕たちをもう一度学ぶことが 「還れ」という2文字に集約されています。   また、浅田は外国語教育を単なる語学屋を生む事と見なしていませんでした。 「語学専門なるも通弁たるなかれ、西洋の文物を学び世界的人物となれ、 アングロサクソンの精神を学べ。人物養成を旨とする。」このように言っています。 彼自身、英語の他、ドイツ語、フランス語、ギリシア語、ラテン語、古代セム諸語に精通し、 さらに漢文や仏教にも造詣が深く、そんな彼だからこそできる提言でしょう。   さて、今回特別ゲストとして東京外国語大学の立石博高学長が講演されました。 特に心に響いたのは「外国語学とは、言葉と文化の精髄を極めること」。 外国語を学ぶことを通じて、その国の文化や生活習慣をも学ぼうと努力する。 東外大が今も浅田の精神に則った教育を貫いていることを理解することができました。   また、グローバル社会に必要な3つのiと題して   International(国を越える) Interdisciplinary(規律を越える) Intercultural(文化を越える)   やはり約100年前に浅田栄次が目指していた事と繋がる点が多いと感じます。 浅田の没後、世界中で数々の戦争が起きました。そして現在でも紛争は毎日のように起きています。 ただ一方で「グローバル化」は日に日に拡大していると言っても過言ではありません。 そんな今だからこそ、グローバル人材を養成するという強い意志を感じ取ることができました。 一卒業生として今後の東京外国語大学の益々の発展を祈願致します。   新たな技術を生み出すこと、つまりイノベーションがもてはやされる世の中ですが、 歴史を学ぶことにも多くのヒントが隠されていると個人的には思っています。 原点回帰と良く言いますが、これは迷った時だけではなく常日頃から必要なことで、 イケイケドンドンで進む中でも、ちょっと立ち止まって過去を省みるというバランス感覚。 この表現が適切かは分かりませんが、僕自身はそういう生き方をしていければと思っています。 その点においても今回の浅田栄次の記念祭は大変大きな意義があったと断言できます。   さて、僕の現在の事業は貿易の端くれ程度ですが、今後はより大きな視野で取り組みたいと思います。 単に物の売買をするだけではなく、相手国に入り込んで異文化を知ろうと努力する。 簡単なことではないですが、常に念頭に置ければ思っています。   IMG_20151017_110609 IMG_20151017_125545 IMG_20151017_153843