企業(従業員)責任とリターンの関係性

現代社会において、企業はCSRに則ってビジネスを行う必要があります。

CSRとは、会社の財務状況や経営の透明性を高める等適切な企業統治とコンプライアンス(法令遵守)を実施し、「リスクマネジメント」と「内部統制」を徹底する活動と、企業の未来への投資の一環として持続可能な社会を実現するため、環境や労働問題などについて企業が自主的に取り組む活動という2つの側面があるわけです。

勿論後者を充実化できることに越したことはないでしょうが、現実問題としてまずはリスクマネジメントに重きを置いて企業統治をする必要があると個人的に思っています。

丁度今私が定期購読しているエコノミストに興味深い記事がありました。「アップルの電気自動車参入」です。 元々はイーロン・マスクがトップのテスラ社を買収することを視野に入れていたようですが、現時点では可能性薄の模様です。その為、自社開発という方向性で動いていると推測されます。

しかしながら、その参入に対する障壁として長期的な開発時間ならびに初期投資があるようです。ただこれについては潤沢な資金があるアップル社ならば対応可能だと思います。問題なのは、死亡事故等の企業責任をも今後は負わなくてはならないということです。

今までならばスマートフォンやパソコンメーカーだったこともあり、仮に死亡した人がいたとしても直接的な因果関係は導き難いかったことと思います。それが車という凶器にもなりうる製品を扱うとなると、失敗した時の経済的ならびに社会的打撃は想像を絶することと思います。最近では米国国内で発生したタカタ製エアバッグがまさに好例(悪例とでもいうべきか)でしょう。

さて、この記事を読んで僕が感じた事が1つあります。

「企業責任の重さとそのリターンは比例しているのだろうか。 」

つまり、人間の生死にも関与する企業はそれ相応の利益を得られているのかということです。まず、トヨタに関しては正直次元が違っていると思います。企業努力の結果がまさに実を結んでいる栄光の時代とでも言えるでしょう。では、それ以外の自動車メーカーで言えば、今はたまたま円安ということもあり増収、増益の企業もあるようです。

ただ一方で、ソフトバンクのような携帯メーカーや商社のような中抜きで利ザヤを稼ぐ企業と比較しても、特別多いどころかむしろ利益ベースだと芳しくないことも多々あると感じます。食料スーパー等利益率が低い典型的な業種ですが、人の食という責任の重さを考えたら少しさみしいと感じます。

誤解を恐れずに言えば、結局マネーゲームありきでビジネスが行われているのではないでしょうか。どれだけ人より先に原石を見つけて、それを囲い込んで、独占的に利益を得ることが賞賛されている時代。

勿論、長きに渡って経営をする企業はどこも絶え間ない自助努力をしているでしょう。素晴らしいことと思います。でも、いざリスクテイクとリターンという観点に立ちかえった時に、やっぱりリスクを負って前進し続ける企業を応援したくなるのが人情というものではないでしょうか。

先に挙げたテーマの典型的な例が介護等の高齢者ビジネスだと思います。「普通ではない」人に相対することの責任の重さと賃金の乖離を脱却することこそ考えるべきことだと言わざるを得ません。更に付け加えると、トラブルが起きた時は個人が責任を負うことになりうる業界であることも、早急に改善すべき課題だと思っています。

「世の中は不条理だね。公平じゃないよね。」なんていつの時代も言われています。もらえるお金は違って仕様が無いとは思いますが、せめてリスクという名の大変さに見合うリターンが得られれば希望の光が見えてくるのではないでしょうか。

編集後記:先週どっぷり農業に浸かっていましたが、まさに農業もハイリスクなビジネスです。作物によって使える農薬の種類や量がまちまちで、少し余ったから別の作物にその農薬をかけたことで、厳しい指導が入るケースも後を絶たないようです。将来的には農業もビジネスの一つの核に育てていく予定ですが、生半可な気持ちはダメだということを学ぶことができました。