こんな方におすすめ
- 海外輸入をこれから始めようとしている初心者
- 現在すでに輸入ビジネスをしている個人・副業プレイヤー
- 法律や通関のリアルを知って、安全・安定的にビジネスを育てたい人
私はこれまで約14年間、「中国湯」と呼ばれる製品を扱うビジネスを手がけてきました。その経験の中で痛感しているのが、「輸入ビジネスは意外と始めやすいが、正しく行うには知識が必要」という点です。とくに、通関や法律の知識を軽視すると、取り返しのつかないリスクに直面することになります。
新卒で通関業者(フォワーダー)に勤め、多くの輸出入現場に携わってきました。そこで学んだ知識や経験が、後に自分のビジネスにおいて大きな支えとなっています。本記事では、私の経験をもとに、個人でも始めやすい輸入・輸出ビジネスの現状と、見落とされがちな法規制・通関の落とし穴についてお話しします。
新卒で学んだ「通関業務」が今の土台になっている
私がビジネスの世界に足を踏み入れたのは、新卒で入社した通関業者での仕事がきっかけでした。通関業者、いわゆるフォワーダーとして、輸出入の裏側を支える仕事に就き、多種多様な商材の通関手続きに関わりました。
たとえば化粧品、医療機器、アパレル、靴などの案件を担当し、それぞれの品目に応じた法規制や書類の取り扱いを経験しました。当時はまだ若かったものの、現場での実務から得た知識や注意点は今でも鮮明に覚えています。
この経験があったからこそ、単に「商品を仕入れて売る」だけではない、法的にもクリアで持続可能なビジネスの道を選ぶことができました。
今の時代、誰でも「輸入・輸出」ができる
現在では、翻訳機能付きのAIやGoogle翻訳、チャットGPTのようなサポートツールを使えば、英語や中国語ができなくても海外サイトで商品を仕入れることができます。SNSやフリマアプリなどの販路も広がっており、昔よりも個人レベルでの輸入・輸出のハードルは大きく下がっています。
たとえば自分が気になった商品をAliExpressや1688などで仕入れ、実際に自分で使ってみる。あるいは品質が良くて人気が出そうであれば、ちょっと利益を乗せて販売してみる。これらは決して夢物語ではなく、誰にでもできる時代に突入しています。
「仕入れられる=合法」ではない落とし穴
しかしここに落とし穴があります。インターネットで簡単に仕入れができる時代ですが、「売っている=合法」「仕入れられる=通関できる」というわけではありません。たとえば、私が通関業者に勤務していたとき、化粧品を扱う会社では薬事法(現在の薬機法)に従って、MSDS(化学物質安全性データシート)や成分表を提出し、専門機関に内容を確認してもらうというプロセスを必ず踏んでいました。
また、化粧品の成分によっては日本国内で使用が禁止されているものもあり、それを知らずに輸入すると違法になります。
たとえば最近ではCBDオイルがアメリカで流通していますが、それを日本に輸入しようとすると麻薬取締法に抵触する恐れもあります。個人が軽い気持ちで仕入れた商品が、実は違法だったというケースも珍しくありません。
100円ショップに並ぶ「化粧品」は本当に合法なのか?
最近では100円ショップなどでも多くの化粧品が販売されていますが、私は正直「これらの製品は本当に厚生労働省の許可を得ているのか?」と疑問に思うことがあります。というのも、正規ルートで輸入・販売するには、前述の通り多くの手続きと検査をクリアしなければならないからです。
サンプル提出、成分確認、申請書類など、手間もコストもかかります。これを100円の商品に反映させることが果たして可能なのか?
もちろん中には正しく手続きをしている企業もあるでしょう。ただし、少しでも安く仕入れて販売したいという考えが先走ると、違法すれすれ、あるいは完全に違法な商品が紛れ込むこともあるのです。
まとめ
輸入ビジネスは、知識があれば非常に可能性のあるジャンルです。しかし一方で、無知のまま進めてしまうと、思わぬトラブルや法的責任を負うリスクも潜んでいます。
通関業者としての経験と、14年にわたる中国湯ビジネスの中で、法を守ることの重要性を何度も痛感してきました。
安易に「儲かりそうだから」「仕入れられるから」と動く前に、まずは法令・ルール・通関手続きについて基本を理解すること。これが、安全で継続的なビジネスへの第一歩になると信じています。