こんな方におすすめ
- これから国際物流やフォワーダー業界を目指す人
- 社会人生活を始めたばかりの新卒・若手社員
- 輸出入関係で独立や起業を考えている人
社会人として最初に経験する仕事は、その後の人生に大きな影響を与えるものです。私にとっての原点は、大学を卒業してすぐに入社したフォワーダー(国際物流企業)での日々でした。成田空港を拠点に、輸入営業やカスタマーサービスに携わり、3年間という短い期間ながらも非常に濃密な経験を積むことができました。
特に、輸入業務は法律や規制の知識を必要とし、常に緊張感と責任感を持ちながら取り組まなければなりませんでした。今回は、当時の1週間のおおまかな生活スタイルや職場での学び、さらに東京での社会人生活について、振り返りを交えながらお話してみたいと思います。過去を振り返ることは、自分の成長を再確認するだけでなく、これから社会に出る方や物流業界を目指す方にとっても参考になるかもしれません。
成田空港での輸入業務と日常
新卒で配属されたのは「成田営業一課」という現場部門でした。私の担当は主に輸入関連の営業とカスタマーサービス。物流業界では「輸入は輸出よりも複雑」とよく言われますが、それは決して誇張ではありません。輸入業務には、関税法、薬機法、食品衛生法など、日本の数多くの法律や規制を順守する必要があり、もし違反すれば罰則やペナルティに直結してしまいます。現場では、書類の確認や顧客への説明に細心の注意を払い、トラブルを未然に防ぐことが日常業務でした。
一方で輸出は比較的シンプルで、日本製品の高品質さは世界的に知られているため、書類を整えれば大きな問題になることは少なかったのです。私自身、後に輸出を担当する仕事にも携わりましたが、そこで深刻なトラブルを経験することはありませんでした。せいぜい梱包ミスや遅延といった小さな課題程度で、輸入のように法律に直結する緊張感は感じませんでした。こうした「輸入と輸出の性質の違い」を、若い頃に身をもって体感できたことは、今でも大きな財産だと感じています。
東京で過ごした社会人としての時間
仕事の拠点は成田空港でしたが、週末や金曜の夜には東京で過ごす時間も多くありました。大学時代も東京で生活していましたが、社会人になってからの東京はまるで別の街のように感じられました。学生時代は「遊び」や「学び」の場としての東京でしたが、社会人になると「仕事とリフレッシュの舞台」へと変わったのです。
たとえば、丸の内で少し背伸びをしてウィンドウショッピングを楽しんだり、同期と居酒屋で語り合ったりする時間は、日々の緊張感を解きほぐす大切なリセットの時間でした。2006年入社の同期は約70名と多く、これは当時でも珍しい規模だったそうです。その仲間たちとは今でも年に1〜2回集まり、当時を思い出しながらお酒を酌み交わす関係が続いています。仕事に追われるだけではなく、人とのつながりや東京という大都市の持つ魅力に触れられたことは、社会人生活をより豊かなものにしてくれました。
経験が今に活きている
結果として私は約3年でその会社を退職し、転職や独立を経て現在は個人事業として輸入・輸出関連のビジネスを続けています。しかし、その基盤となっているのは間違いなく新卒時代の経験です。特に「輸入業務の複雑さ」「法律を遵守する重要性」を若いうちに学んだことは、その後のキャリアの大きな支えとなりました。
当時は一つの書類ミスや判断の誤りが大きなトラブルにつながるため、常に緊張感を持って仕事に向き合っていました。その姿勢は独立後のビジネスでも役立ち、クライアントとの信頼関係を築くうえで欠かせない要素になっています。社会人生活の最初に厳しい環境で鍛えられたからこそ、後に新しい挑戦をするときも迷わず一歩を踏み出せたのだと思います。もし最初の数年間で別の業種に携わっていたら、今の自分はまったく違う道を歩んでいたかもしれません。
まとめ
成田空港で過ごした新卒3年間は、私にとって非常に大きな財産です。輸入業務を通じて法律の重要性を学び、輸出との違いを体感し、また同期や東京での生活から人とのつながりやリフレッシュの大切さを知りました。短い期間であっても、真剣に取り組んだ経験は将来に必ず活きるものです。
私自身、当時の経験があったからこそ独立して今も輸入ビジネスを続けられていると断言できます。これからも折に触れて、当時の経験を掘り下げながら発信していきたいと思います。