こんな方におすすめ
- 輸入・卸ビジネスに興味がある個人事業主
- 海外ビジネスのリアルな裏話を知りたい人
- ベトナムや韓国人との共同ビジネスに関心がある方
100円ショップのビジネスって、地味に見えて裏側はかなりドラマティックなんです。
今回はその続編。前回の記事では、僕が偶然知り合った韓国人の卸業者と繋がり、東京→成田→広島と拠点を移しながら、気づけばそのビジネスにどっぷりハマっていったところまでを紹介しました。そして今回、話は海外へ。まさかの「ベトナム進出計画」。
舞台は変わり、登場人物もクセが強い。まるでNetflixのノンフィクションドラマのような展開です。
目次
ベトナム進出の裏には「息子への継承」という名の無謀計画があった
韓国人のボスが突然、「ベトナムで市場を作る」と言い出したのは2018年。最初は冗談かと思ったが、どうやら本気だった。しかもその中心には、ボスの一人息子――韓国で俳優活動をしていたというイケメン青年を据えるという。息子に事業を継がせるため、海外で成功体験を作らせたいという「親心」とも言えるが、実態は経験ゼロの若者に数千万規模のビジネスを託すという、ぶっ飛んだ構想だった。
出資金はボスが準備。一部は僕も出す流れに。ベトナムで会社を作り、現地の工場で製造した商品を日本の100円ショップに卸すという、スケールだけは壮大なプランがスタートした。
ハノイ郊外の「セレブマンション」で共同生活開始。毎日キムチ、毎晩焼肉
現地に飛び、住まいはなんと15階建ての高級マンション。カードキー完備でジムやラウンジ付きのいわゆる“セレブ住居”。日本なら月30万円はするであろう物件に、韓国人メンバーと共に住むことに。
食事はもちろん韓国料理。しかもレベルが高い。朝からキムチ、夜は焼肉。たまにボスの奢りで外食にも行き、これがまた旨い。言葉の壁もなく、メンバー全員が日本語ペラペラ。むしろ僕の方が「韓国語で挨拶くらい覚えろよ」と言われる始末だった。
この共同生活、思っていたより快適だった。食・住に不自由はなく、たまに卓球やランニングをして、隙間時間はカフェで自分の仕事をこなす。実際、楽しかった。問題が起こるまでは。
輸出ビジネスの闇――100円ショップの「安さ」の裏に潜む品質の落とし穴
共同生活を始めて3ヶ月目、ついに大きな問題が発生する。日本側からの指摘が入った。「商品の品質が悪すぎる」と。もともと100円という価格帯に合わせて作る以上、品質はある程度“それなり”で良いはずだった。が、ボスは利益を追いすぎた。
使っている素材は最安、検品はザル、工場の管理も不十分。結果、日本のバイヤーからは「これは売れない」「返品続出」の声。僕自身も「これ、通関で止まるんじゃ…」と嫌な予感はしていた。
そして案の定、このプロジェクトは大赤字に終わる。出資金は回収できず、ボスは「これは学びだ」と言って撤退を決断。僕は3ヶ月で日本に戻ることとなった。
【まとめ】
海外ビジネスにロマンを感じるのは当然。でも現実は、ロマンだけでは食っていけない。資本、管理、人間関係、法規制――ひとつでも穴があれば崩れるのがこの世界です。僕が体験したこのベトナムプロジェクトは、表面上は豪華で順調に見えて、実は土台がガタガタだった。
ただ、それでも言えるのは「やってよかった」。異国での生活、異文化との協業、ビジネスの壮大さ。普通の人生では絶対に味わえない経験でした。