こんな方におすすめ
- 仕事で人間不信になったことがある人
- 金銭トラブルに巻き込まれた経験がある人
- ビジネスパートナー選びで後悔したくない人
人と関わって仕事をする以上、信頼って避けて通れないものだと思います。でもその信頼を、たった一度の判断ミスや気の緩みで簡単に壊してしまうこともある。今回は僕がある仕事の中で、金銭トラブルに巻き込まれた話を正直に書いていきたいと思います。
舞台はベトナム。元々は卸系の仕事で呼ばれ、関わったビジネスだったんですが、帰国後に関係が一気に崩れていきました。特に、今でも記憶に残っているのが「現金の紛失事件」です。警察沙汰にもできたけど、結局泣き寝入りした。その代わりに僕の中に残ったのは、「人を見る目の大切さ」でした。
読み終えたあと、誰かとの関係を一度見直してみるきっかけになれば嬉しいです。
目次
金が消えた朝——鍵をかけなかった自分のミスと、確信犯の存在
ある日、取引先への支払いのために、まとまった現金を銀行で引き出しました。細かい金額は忘れましたが、そこそこ大きな額でした。そのお金は翌日、取引先の社長に渡す予定で、僕は封筒に現金を詰めて自分の机の引き出しに入れました。
…ただし、鍵はかけなかった。正直言って、これが最大の落ち度です。
「明日ちゃんと渡すからな」と思っていた僕は、その日の終業後、そのまま机に現金を入れっぱなしにして帰宅。翌朝出勤して封筒を確認したら——無いんです。中身が全部、きれいさっぱり消えていました。まさに背筋が凍るとはこのこと。会社の空気も一気に張り詰めました。
最初に社長に報告したときは、何かの間違いかもと一瞬思いました。でも、すぐに「鍵かけてなかったんだよな?」と聞かれて、返す言葉がありませんでした。会社としても警察に届けるか悩んでいたようですが、僕の判断は「もういいです、自己責任です」と頭を下げることでした。
ただ、心の中では「こいつしかいない」と思っている人間がいました。以前から「なんか怪しい」と感じていた一人の男。前回のブログでも触れた、あの“胡散臭いおっさん”です。態度も雑で、人の私物を勝手に触ったり、他人の机の中を探ってるのを目撃したこともある。でも証拠があるわけじゃない。だから、言えなかった。
「やっぱり、あいつだったんだ」——後からわかる真実と虚しさ
数ヶ月後、その“おっさん”は倉庫で別のスタッフともトラブルを起こし、正式に解雇されました。倉庫内の備品や売上金に関して不明瞭な点が多く、管理側も何度も注意していたようです。僕が辞めてから聞いた話でしたが、「やっぱりな」と思いました。あの時のお金も、間違いなくこいつが取ったんだろうと、確信に変わりました。
でも、不思議と腹は立ちませんでした。怒りよりも、何もできなかった自分の無力さと、その時に声を上げられなかった弱さに、情けなさを感じていました。
思い返せば、警察に相談すればよかったのかもしれません。内部通報みたいな形で匿名で報告する手もあった。でも、その時の僕には「もう関わりたくない」「これ以上面倒事を増やしたくない」という気持ちの方が強かった。だから、社長にも言えなかった。
今にして思えば、その判断が間違っていたかどうかは正直まだわかりません。ただ、あの時、あの人と縁を切る決断をしたことで、後々になってもっと面倒なことに巻き込まれずに済んだとも言えます。
潰れていた会社——Googleマップに残る、虚しい記憶
退職後、ふとした時にGoogleマップでその会社を調べてみたことがあります。場所はそのままだけど、「閉業」表示になっていました。ウェブサイトも消えてるし、電話番号も使われていませんでした。なんとも言えない気持ちになりました。
「まぁ、そうだよな」と納得する自分もいた。ビジネスって、誠実さがなければ続かない。その場しのぎで、金を回して、嘘をついて、関係を繋いで……そんなやり方は、長くはもたない。結局、自滅するだけなんです。
ベトナムにいた頃は、それなりにいい思いもさせてもらいました。焼肉食べて、女の子と遊んで、海外生活をエンジョイして……それはそれで一つの「人生経験」だったとは思います。でも、それを支えていたのは不透明なお金だったり、グレーなやり取りだったりしたんだなと、今になって理解できるようになったんです。
「もう二度と同じ轍は踏まない」——身についた“人を見る目”
あの一件以来、僕は人を見る目に自信がつきました。むしろ、あれがなければ今もまだどこかで同じようなことを繰り返していたかもしれません。今は地道に仕事をしながら、副業やアルバイトで生活を繋いでいますが、誰と組むかには本当に慎重です。
第一印象ではわからないけど、細かいところで違和感を感じる人はやっぱりどこかで問題を起こす。「この人、なんかちょっと…」と思った直感は、無視しない。あの頃の僕は、それを見て見ぬふりをした。今は、どれだけ仕事がうまく進んでいようと、関係性に“違和感”を感じたら距離を取るようにしています。
人間関係って、積み重ねです。だからこそ「一度の裏切り」が与えるダメージは計り知れない。金額以上に、自分の信頼感や価値観が崩れていく感覚が、一番怖かった。それを味わったことで、今の自分があると心から思えます。
まとめ
振り返ってみれば、僕は金もボーナスも失った。でも、それ以上に大事な“人を見る目”を手に入れました。ビジネスでも、日常生活でも、結局一番重要なのは「誰と組むか」「誰と関わるか」だと思います。
金はまた稼げる。でも一度信用を失った人間とは、絶対に戻れない。あの時の僕が下した「黙って去る」という選択は、今の僕にとっては“最善”だったと思っています。
この話を読んで「自分にもそういう経験がある」と思った人がいれば、それはあなたの中にも“見極めの力”が芽生えている証拠です。失敗しても、学べることはたくさんある。それだけで、十分意味があると僕は思っています。