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100円ショップ卸売で学んだ“資金繰りの真実”。銀行融資なしにビジネスは回らない

中国輸入貿易15年 内山剛

中国輸入販売歴10年目。41歳。Amazon、楽天他サイトにて販売。最高月商280万円。

新卒で業界3位の通関業者(フォワーダー)入社。某大手ロボットメーカーや某超有名化粧品メーカー等担当し幅広い経験。

転職後、輸出担当やHP制作を経て独立。某大手100円ショップの卸売業者との縁があり、中国やベトナムに滞在し現在に至る。

詳しくは代表プロフィールをご覧ください。

こんな方におすすめ

  • 自己資金だけでやることに不安を抱えている人
  • 銀行融資が怖い、ネガティブだと感じている人
  • 数字の見せ方や銀行との付き合い方に自信がない人

 

ビジネスを「自力だけ」で始めようとする人は意外と多い。しかし、実際に走り出してみると、自己資金のみで事業を回し続けることには大きな限界がある。僕自身、複数のビジネスに関わる中で、銀行融資の重要性を痛感した。借金=悪という日本特有の価値観に囚われているうちは、ビジネスをスケールさせることは難しい。

今回は、僕が過去に経験した「銀行融資を使った事業運営」と「現場で学んだ資金繰りのリアル」についてまとめていきたい。

自己資金だけでスタートする“危うさ”

自己資金だけでビジネスを始めるメリットは、一見するとシンプルだ。「借金ゼロで始められる」「リスクが小さく見える」「返済に追われるストレスがない」——こういった“精神的な安心”は確かに魅力だ。

しかし、実際に事業を続けていくと、現金不足という大きな壁が必ずやってくる。
ビジネスは想像以上にお金がかかる。仕入れ、製造、人件費、広告費、外注費、倉庫代、送料、システム利用料——これらは固定費・変動費として毎月重くのしかかる。

そして、最も怖いのは「想定外の支払い」だ。
急なキャンセル、外注ミス、返品大量発生、原材料の高騰、海外での送金遅延など、予定にない出費が重なった時、自己資金だけでは一気にキャッシュが減る。

さらに、自己資金のみで進めると、
・仕入れ数量を増やせない
・広告投下をためらう
・必要な設備投資を先送りする
・在庫切れで売上を逃す
・外注をケチって自分の時間が奪われる
といった“成長の妨げ”が必ず発生する。

「借金=悪」という考えは日本では根強いが、実際には、資金があるかどうかは経営の安定度に直結する。
資金がある事業の方が、スピードも意思決定も圧倒的に早く、トラブルにも強い。
自己資金だけで戦うのは、例えるなら「弾薬なしで戦場に行くようなもの」。その危うさを、僕は実体験から強く感じた。


100円ショップ卸売の現場で学んだ“資金繰りのリアル”

100円ショップの卸売事業に関わった当時、僕は語学系出身で、経理や財務の経験はほぼゼロだった。それでも、前職の縁から日本側オペレーション全般を任され、現場の中心に立つことになった。

そして実務の中心にあったのが、とにかく資金繰りを絶やさないこと

100円ショップ向けの卸売は、いわゆる“薄利多売”の世界だ。
大量に仕入れて大量に売るが、利益率は低い。
数千万円単位の入金と支払いが毎月発生し、1週間遅れただけでも資金が回らなくなる。

海外工場への支払い、日本側の倉庫・人件費、物流費、コンテナ費用……
全てが「先に出ていくお金」だ。
売上が入るのは数ヶ月後。だからこそ、現金が常に必要になる。

僕が担当した業務は、
・銀行への訪問
・現在の売上報告
・返済計画の調整
・追加融資の相談
・キャッシュフローの作成
など、非常に重たい責任を伴うものだった。

実績の浅い企業の場合、銀行も慎重だ。
「6000万円貸すけど半年以内に全額返済」
「代表個人の不動産も担保にする」
「売上実績が続かないと翌年は融資しない」
こういった厳しい条件を突きつけられることも珍しくない。

また、銀行は
「そのビジネスに未来があるか?」
「経営者が途中で逃げないか?」
「継続する覚悟があるか?」
という“経営者の人間性”も見ている。

語学が本職の僕にとって、これは未知の世界だったが、逆に言えば“数字と信頼”さえ揃えば銀行は協力的だった。

この経験が、後に自分がビジネスをスタートする際の大きな財産になった。
資金繰りは経営の心臓であり、これを軽視すると事業は一瞬で崩れる。
現場で学んだこの教訓は、今も僕の根幹になっている。


銀行は“敵”ではない——数字と計画で味方に変わる

銀行とのやり取りを重ねるたび、僕の中ではっきりと見えてきた事実がある。それは、
銀行は感情で動かない。ロジックと実績で動く。
という非常にシンプルな構造だ。

銀行員が判断材料にするのは、
・売上の推移
・利益率
・粗利の安定性
・在庫管理の状況
・事業計画の整合性
・返済可能性
であり、要は“数字が語るストーリー”だ。

日本では「借りてください」と頭を下げるイメージがあるが、実際は違う。
銀行も融資によって利益を得るため、貸せる相手には積極的に貸したい。つまり、銀行はビジネスのパートナーだ。

僕が自分のビジネスに戻った際も、その経験が生きた。
事業計画書を作り、売上実績を整理し、強みと成長見込みを論理的に説明したところ、銀行から製造資金として融資を受けられた。

この時に感じたのは、
「銀行融資とは、経営のリスクを減らし、発展のスピードを上げる武器」
であるという事実だ。

融資を受けられる状態をつくるためには、
・数字を整える
・根拠を示す
・計画を立てる
・継続性をアピールする
という“経営者の努力”が欠かせない。

だが逆に言えば、これさえできれば銀行は必ず味方になる。
銀行は敵でも恐怖の対象でもなく、正しく使えばビジネスの加速装置になるのだ。


借金を避ける方が“リスクが高い”

多くの人が間違えるのは「借金がストレスになる」という先入観だ。
確かに返済は義務だが、その一方で資金がない状態で事業を続ける方が、はるかに精神的にも経営的にも危険だ。

たとえば、資金不足だと
・仕入れができず在庫切れを起こす
・広告を打てず、成長が止まる
・外注をケチって自分が疲弊する
・新規投資ができず競争に負ける
・トラブルに対応できず信用を落とす
など、リスクだらけになる。

逆に、資金に余裕があると
・必要な時にすぐ動ける
・良い仕入れタイミングを逃さない
・生産性を上げるための外注ができる
・精神的にも余裕を持てる
・中長期の投資が可能になる
といった“攻めの経営”ができる。

つまり、
借金を避けること自体が、最大の経営リスクになることがある。

僕自身、融資を受けて初めて「資金が潤沢な状態」の強さを知った。
資金ショートの恐怖が消え、判断も早くなり、ビジネスの幅が一気に広がった。

もちろん借金は魔法ではない。
だが、
「返せる計画と、伸ばすための準備」
さえあれば、融資は確実に事業の味方になる。

そして何より重要なのは、
“自力で全部やる”という美学に縛られないこと。
ビジネスはチーム戦であり、銀行もあなたの味方につくチームメンバーの一人だ。

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中国輸入販売歴10年目。41歳。Amazon、楽天他サイトにて販売。最高月商280万円。

新卒で業界3位の通関業者(フォワーダー)入社。某大手ロボットメーカーや某超有名化粧品メーカー等担当し幅広い経験。

転職後、輸出担当やHP制作を経て独立。某大手100円ショップの卸売業者との縁があり、中国やベトナムに滞在し現在に至る。

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