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中国OEMの金型は誰のもの?金型代を支払っても返還されない「模具所有権」トラブルと対策

中国輸入貿易15年 内山剛

**中国輸入・中国企業取引 約15年|元フォワーダー** 国際物流会社(フォワーダー)で通関・輸送に関わる実務を経験。その後、中国からの商品仕入れやAmazon・楽天市場などでの輸入販売に携わってきました。 仕入先選び、国際輸送、通関、輸入規制、知的財産、品質トラブルなど、**「仕入れる前に確認しておきたい中国輸入のリスク」**を中心に発信しています。 中国輸入の無料相談も受付中です。

vこんな方におすすめ

  • 中国でオリジナル商品をOEM製造している方
  • 中国工場との契約や知的財産の管理に不安がある方
  • 専用金型や治具の製作費を支払う予定がある方

 

 

中国工場でオリジナル商品を開発する際、金型製作費を請求されることがあります。

金型代を支払ったのだから、その金型は当然自分のもの。そう考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、中国OEMでは、金型代の支払いと金型の所有権、さらに実際の返還請求ができるかどうかは、必ずしも同じ問題ではありません。

例えば、取引先工場の価格が突然上昇したため、別の工場へ生産を移管しようとした場合です。

金型の引き渡しを求めたところ、保管費や追加費用を請求される。あるいは工場側が金型の所有権を主張する。

こうしたトラブルを防ぐには、契約前の確認が重要です。

今回は、中国OEMの中でも見落とされやすい金型所有権の問題を取り上げます。

 

1. 金型代を支払っても所有権が明確とは限らない

中国OEMで金型を製作する場合、工場から提示される見積書には「模具费(mújù fèi)」と記載されることがあります。

日本語では金型費という意味です。

しかし、見積書に金型費と記載されているだけでは、その金型の所有権が誰にあるのか明確でない場合があります。

例えば、金型製作費の一部を工場側が負担し、量産品の単価に残額を含めて回収する契約も考えられます。

 

この場合、何個発注した時点で金型の所有権が移るのか、契約で定めていなければ後から争いになる可能性があります。

また、金型自体の所有権と、製品の設計図面やデザインに関する知的財産権は別の問題です。

そのため、単純に「金型代は支払った」と主張するだけでは、すべての権利関係を解決できるとは限りません。

私なら金型製作を依頼する段階で、費用だけでなく、所有権がいつ移転するのかまで確認します。

 

2. 中国工場を変更するときに金型トラブルが表面化する

金型の所有権を曖昧にしたままでも、取引が順調に続いていれば問題が表面化しないことがあります。

ところが、別の工場へ生産を移そうとした瞬間、状況が変わります。

例えば、製造単価の値上げ、納期遅延、品質問題などを理由に取引先を変更しようとした場合です。

金型の返還を求めると、工場側から「金型は当社の資産である」「まだ製作費が回収できていない」

「未払い代金を精算してほしい」と説明される可能性があります。

ここで注意したいのは、すべての返還拒否が直ちに違法とは限らないことです。

契約条件や未払い債務、中国法上の留置権などが問題になる場合もあります。

 

さらに、金型が契約先の工場ではなく、下請け工場に保管されているケースも考えられます。

どの工場が金型を保有し、誰が引き渡しを判断できるのか。

生産を移管する予定がなくても、あらかじめ確認しておく必要があります。

 

3. 所有権だけでなく「返還条件」まで取り決める

中国OEMの契約で重視したいのは、所有権を明確にすることだけではありません。

実際に金型を返還してもらえる仕組みを作ることです。

例えば、契約書には次の事項を盛り込むことを検討します。

  • 金型の所有者と所有権移転の時期
  • 金型の識別番号、保管場所、管理責任
  • 他社商品への無断使用や第三者への貸与の禁止
  • 取引終了時の返還方法、期限、費用負担

加えて、金型の写真や図面、製作費の支払記録、完成時の検査記録を保存しておくことも重要です。

金型を引き渡してもらえても、破損していたり、新しい工場の設備に適合しなかったりすれば、すぐに製造を再開できない場合があります。

返還する金型の状態や付属部品、関連する図面データの取り扱いについても確認しておきたいところです。

契約の法的有効性や中国法上の留置権への対応は、案件に応じて中国法に詳しい専門家へ確認する必要があります。

 

4. 中国語で金型の所有権を確認する方法

中国工場に対しては、抽象的に「金型は私のものですよね」と聞くだけでは不十分です。

誰が所有し、誰が保管し、将来どのように返還されるのかを分けて確認します。

例えば、次の中国語表現が使えます。

 

① 金型の所有権

模具费用支付完成后,模具的所有权归谁?

金型費用の支払い完了後、金型の所有権は誰に帰属しますか?

② 保管場所

请确认模具的实际保管地点和管理负责人。

金型の実際の保管場所と管理責任者を確認してください。

③ 金型の返還

如果我们以后更换生产厂家,贵司能否按照合同约定返还模具?

将来、製造工場を変更する場合、契約に従って金型を返還していただけますか?

④ 第三者への使用禁止

未经我方书面同意,不得使用该模具为第三方生产产品。

当方の書面による同意なく、この金型を使用して第三者向けの商品を製造してはなりません。

これらは確認や交渉に使える表現ですが、法的な権利義務を確定させるには正式な契約書での取り決めが必要です。

 

まとめ

中国OEMでは、金型代を支払うことと、金型を自由に管理・移管できることは同じではありません。

所有権、保管場所、使用権限、返還条件、知的財産権は、それぞれ整理する必要があります。

特に、工場との関係が悪化してから交渉を始めても、簡単に解決できない場合があります。

だからこそ、金型製作を発注する前に条件を確認し、書面で合意しておくことが重要です。

中国OEMで本当に守るべきものは、商品の利益だけではありません。継続して生産できる権利と環境も重要な事業資産です。

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**中国輸入・中国企業取引 約15年|元フォワーダー** 国際物流会社(フォワーダー)で通関・輸送に関わる実務を経験。その後、中国からの商品仕入れやAmazon・楽天市場などでの輸入販売に携わってきました。 仕入先選び、国際輸送、通関、輸入規制、知的財産、品質トラブルなど、**「仕入れる前に確認しておきたい中国輸入のリスク」**を中心に発信しています。 中国輸入の無料相談も受付中です。

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