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薬機法違反で大損!私の失敗事例から学ぶ輸入ビジネスのリスク管理と法規制遵守の重要性

中国輸入貿易15年 内山剛

中国輸入販売歴10年目。41歳。Amazon、楽天他サイトにて販売。最高月商280万円。

新卒で業界3位の通関業者(フォワーダー)入社。某大手ロボットメーカーや某超有名化粧品メーカー等担当し幅広い経験。

転職後、輸出担当やHP制作を経て独立。某大手100円ショップの卸売業者との縁があり、中国やベトナムに滞在し現在に至る。

詳しくは代表プロフィールをご覧ください。




こんな方におすすめ

  • 輸入ビジネスを始めたばかりの方
  • 法令遵守を強化したい輸入業者
  • 過去に輸入トラブルを経験した方

輸入ビジネスは、多くの可能性を秘めた魅力的な事業ですが、一方で法規制を知らずに進めてしまうと大きなリスクを抱えることになります。特に、薬機法(旧薬事法)や関税法といった法律に抵触するケースは後を絶ちません。「これくらい大丈夫だろう」という油断や「知らなかったから仕方ない」という考えは、ビジネスの信頼を一瞬で失わせる危険性をはらんでいます。

国内と海外の違いということもあり不明瞭な部分も正直存在するのは事実です。そもそも国内であれば販売以前に購入することすらできないように規制がしっかりとなされています。一方で海外となると法律も慣習も異なるわけで「知らなかった」と言うのは確かに起こりうる状況かもしれません。

とはいえ、知っておいて損なことは無いと思いますので、是非この記事を通じて何かを感じ取ってもらえると嬉しいです。

輸入ビジネスと法規制の壁

輸入ビジネスは、海外の商品を日本市場に持ち込むことで大きな利益を生み出せる魅力的な事業です。しかし、その背後には知らずに進めてしまうことで重大なリスクに繋がる「法規制」という見過ごせない壁が存在します。特に薬機法(旧薬事法)は、医薬品や化粧品、医療機器などを取り扱う際の厳しいルールを定めており、違反した場合にはビジネスが崩壊しかねない影響を及ぼします。

私自身、輸入ビジネスを始めた初期に、薬機法に抵触する製品を販売してしまった経験があります。当時、私は輸入品の選定や販売に自信を持っており、利益率の高い商品に目をつけて積極的に展開していました。その商品が薬機法の規制対象であることを知らずに、順調に売上を伸ばしていたこともあり、「これからさらに成長できる」と自信を持っていました。しかし、その自信が裏目に出て、予期しないトラブルに直面することになったのです。

ある日、県の薬事班から連絡があり、私が取り扱っていた製品が薬機法に違反していることが指摘されました。すぐに販売停止と全品回収、そして返金対応を余儀なくされました。この指摘を受けたとき、私はまさに「奈落の底に落ちた」ような気持ちになりました。順調だった売上が一瞬でストップし、回収にかかるコストや返金対応で時間もお金も消耗しました。不良在庫が大量に残ることになり、その後の在庫処理や再販の難しさにも悩まされました。

この失敗は、単に金銭的な損失だけではなく、私にとって大きな教訓となりました。それまで法律や規制に対する理解が浅かった自分を痛感しましたし、事前に調査せずに進めてしまったことへの後悔が心に重くのしかかりました。また、ビジネスの進行において、常にリスクが存在することを再認識し、その後の方針や計画に対して慎重になるようになりました。あの時の失敗がなければ、今のように法規制への認識を深め、より慎重にビジネスを進めることはなかっただろうと感じています。

皆さんには同じ失敗をしてほしく無いという思いを込めて以下に進めていきたいと思います。

失敗の経緯:知らなかったでは済まされない法規制

輸入ビジネスを始めたばかりの頃、私は海外で人気の美容系製品を日本に輸入して販売する事業をスタートさせました。その商品は、見た目もおしゃれで機能的、さらに仕入れ価格も安かったため、利益率も非常に高いものでした。販売開始直後から順調に売上を伸ばし、初めての事業として大きな手応えを感じていました。しかし、その裏に法規制という大きな落とし穴が潜んでいたことに気付いていなかったのです。

ある日、県の薬事班から連絡を受けました。指摘されたのは、私が販売していた商品の一部が薬機法(旧薬事法)の対象となるものであるにもかかわらず、適切な手続きや表示を行っていなかったことでした。具体的には、その商品が医薬品や医療機器に該当する可能性があるにもかかわらず、必要な許可や届出を怠った状態で販売を進めていたのです。

これにより、全品回収と顧客への返金対応が必要となりました。すでに多くの在庫を仕入れていたため、販売機会を失っただけでなく、不良在庫が積み上がる結果に。さらに、顧客対応や行政とのやり取りに多くの時間を費やし、ビジネス全体が停滞する事態に陥りました。

「知らなかったから仕方ない」と言い訳をしたくなる状況でしたが、ビジネスの世界ではそれは通用しません。この失敗は、法規制を軽視していたこと、そして知識不足が引き起こしたものであり、私にとって苦い教訓となりました。

 

経緯:

1 輸入商品選定のミス

・利益率が高い商品に目をつけたものの、それが薬機法の規制対象であることに気づかず輸入・販売を開始。

2行政からの指摘

・県の薬事班から商品が薬機法に抵触していると連絡を受け、全品回収と販売停止を命じられる。

3 影響と損害

・回収対応や不良在庫による財務的損失に直面し、顧客や取引先からの信頼も低下。

 

影響と教訓:失敗がもたらした代償と学び

薬機法(旧薬事法)に抵触する製品を輸入・販売したことによる影響は、想像以上に大きなものでした。まず最初に直面したのは、全品回収と顧客への返金対応です。すでに販売した商品の数は多く、一つひとつ顧客に事情を説明し、返金処理を進める作業は膨大な時間と労力を要しました。この間、他のビジネス活動に割ける時間が大幅に制限され、売上の伸びが完全にストップしました。

さらに、不良在庫の問題も深刻でした。輸入時に多くの在庫を確保していたため、販売停止後に倉庫に残された商品はすべて無価値になりました。これにより、大きな財務的損失を被りました。利益率が高い商品だったため、当初は「これで成功する」と期待していましたが、一転して資金繰りに苦しむこととなりました。

また、顧客や取引先の信頼にも影響を与えました。商品の回収に関する対応が丁寧だったとはいえ、一度信頼を失うと、その回復には多大な努力が必要です。ビジネスの根幹である「信頼」がいかに大切かを、この経験を通じて深く実感しました。

この失敗から得た最大の教訓は、法律や規制に対する無知がどれほど危険であるかということです。「知らなかったでは済まされない」という現実に直面し、法規制の知識を軽視していた自分自身の甘さを痛感しました。同時に、輸入ビジネスを成功させるためには、商品の品質や売上だけでなく、法規制のチェックやリスク管理も重要な要素であることを学びました。

この経験を機に、私は法律の専門家と連携する体制を整え、自らも輸入に関連する法規制について徹底的に学び直しました。結果として、現在ではリスクを最小限に抑えた安全なビジネス運営が可能となっています。この教訓は、今後もビジネスを続ける上での礎となることは間違いありません。

 

影響と教訓

輸入前の法規制確認の重要性

・商品が薬機法などの規制対象かどうか、事前に確認することが不可欠。

専門家への相談

・法律に関する不明点は専門家に相談し、リスクを回避する。

広告表現の適正化

・誇張や虚偽の表現を避け、正確な情報提供を心がける。

 

薬機法(薬事法)の基礎知識と違反すると起きるリスク

ではここからは改めて薬機法に関して整理してみたいと思います。

薬機法(旧薬事法)は、日本国内で医薬品、医療機器、化粧品、医薬部外品などを製造、販売、輸入する際に適用される法律です。その目的は、これらの製品が人体に与える影響を適切に管理し、安全性を確保することにあります。この法律は、対象製品の輸入・販売に際して厳しいルールを課し、違反した場合には個人や企業に対し、行政処分や罰則が科される可能性があります。

薬機法の対象製品

  1. 医薬品: 病気の治療や予防を目的とした製品。薬剤やワクチンが含まれる。
  2. 医療機器: 健康管理や治療のために使用される器具。例として体温計や血圧計。
  3. 化粧品: 肌や毛髪の美化・保護を目的とする製品。
  4. 医薬部外品: 化粧品と医薬品の中間に位置し、特定の効能が認められる製品(育毛剤や防虫剤など)。

輸入業者が注意すべきポイント

  • 対象製品の分類を正確に把握すること。
  • 医薬品や医薬部外品、医療機器の場合、厚生労働省への事前届出や許可が必要。
  • 製品ラベルや広告表現も規制対象であり、効能効果を謳う場合には厳密な基準を守る必要がある。

違反した場合のリスク

  1. 行政指導・処分: 違反が判明すると、販売停止命令や回収命令が下されることがあります。これにより、ビジネスが一時的に停止するだけでなく、顧客対応や在庫処理に大きな負担が生じます。
  2. 刑事罰: 薬機法違反は刑事罰の対象にもなり得ます。特に悪質と見なされた場合、罰金や懲役刑が科される可能性があります。具体的には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金、あるいはその両方が科される可能性があります。[補足]2021年8月1日からの改正薬機法により「課徴金制度」が導入されました。この制度では、虚偽や誇大広告が認められた場合、対象商品の売上高の4.5%を課徴金として支払う義務が生じます。課徴金は過去3年間の売上を遡って算定されるため、影響は非常に大きなものとなる可能性があります。
  3. 信頼の喪失: 顧客や取引先、行政機関からの信頼が失われると、ビジネスの存続に大きな影響を与えます。一度失われた信頼の回復には多くの時間と努力が必要です。
  4. 財務的損失: 不良在庫の発生や返金対応による損失が経営を圧迫する可能性があります。

まとめ

輸入ビジネスにおける法規制の理解不足が引き起こすリスクを痛感した失敗事例でした。特に薬機法(旧薬事法)の規制対象商品を無自覚に取り扱ってしまったことが、思わぬトラブルの原因となりました。この経験から、法規制に対する認識の重要性を強く感じ、今後は輸入前に商品の分類や法的要件を十分に確認するよう心掛けています。

また、専門家に相談することの大切さも学びました。法令に関する知識は専門的であり、自分だけで完璧に把握することは難しいため、疑問があれば早期に専門家に相談し、リスクを最小限に抑えるべきだと感じています。さらに、広告表現についても誤解を招かないよう、正確な情報提供を行うことが信頼を築くために欠かせません。

この失敗を通じて得た教訓は、今後のビジネス運営において非常に重要な指針となります。法規制を守り、リスクを避けることで、安全で継続的なビジネス展開が可能となります。



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