人はある日、ふとしたきっかけで人生のレールを踏み外す。もしかするとそれは「道を間違えた」と思うような瞬間かもしれないし、あるいは後から振り返って「必要な遠回りだった」と思える経験かもしれません。私にとってのその瞬間は、7年前、2017年のある日でした。
突然の連絡、意外な再会、そして100円ショップに商品を卸す韓国人社長との出会い。それは、輸入ビジネスをすでに自分なりに回していた私にとって、まったく想定外の展開でした。
このブログでは、その体験を「第1話~第3話」に分けて語っていきます。今回は【出会いと決断編】。どうぞお付き合いください。
目次
■ 偶然の再会が引き寄せた「第二の人生」への誘い
きっかけは本当に突然でした。Uターンして山口県で暮らしていたある日、かつての同僚から数年ぶりに連絡が来たんです。内容はこうでした。
「今度、輸入系のビジネスを始めようと思ってるんだけど、手伝ってくれない?」
正直、何かピンと来るものがあったわけじゃない。けれど、そのタイミングが妙に噛み合っていたんですよね。というのも当時の私は、中国輸入ビジネスをそこそこ安定して回せていたものの、どこか「このままでいいのか」と思っていたところだったんです。
もちろん、その話がどれほど真剣なものなのかは、当初はわからなかった。だけど、話を聞いているうちに、自分の中で「もう一度、違う世界を見てみたい」という気持ちがじわじわと湧き上がってきました。
話をくれた方とは、数年前に山口県のある中小企業で一緒に働いていた関係です。営業力に長けていて、人とのつながりが深く、個人的にも信頼していた人物でした。そんな彼が、「広島で、新しい輸入の商流を作る」と言う。信じてみたいと思ったんです。
■ 韓国人社長との出会い|「この人は只者じゃない」と感じた瞬間
彼を通じて紹介されたのが、今回のキーパーソンとなる“韓国人のボス”でした。
第一印象? 正直、圧倒されました。いわゆる“オーラ”があるというやつです。言葉はやや拙くても、話し方がとにかく堂々としている。目線、声のトーン、沈黙の使い方、どれもが自信に満ちていて、「この人、絶対に何かやってきた人だ」と感じさせられました。
驚いたのは、彼が卸していた先。誰もが知っているあの100円ショップチェーンの卸元だったんです。しかも外国人がそのポジションを築いていたということに、衝撃を受けました。輸入業界を15年以上やってきた私から見ても、それはなかなか実現できることじゃありません。
「外国人なのに」と思う気持ちと同時に、「この人、商売の筋が違う」と本能的に感じてしまったんですね。
一方で、私に声をかけてくれた同僚の話しぶりが、少しずつ気になりはじめていました。誰かの悪口から入る会話、話の焦点がぶれている説明…。それに比べて、この韓国人ボスの話は簡潔で、かつ目指すビジョンが明確でした。
そして私は、ボスの方を選びました。
■ 200万円の出資と“ゼロ”から得た、かけがえのない経験
ビジネスに本格的に関わるため、私は広島に引っ越しました。住む場所も整え、輸入から卸、商品管理まで、現場で一通り学びました。気がつけば自分でもびっくりするくらい、お金も時間も注ぎ込んでいたんです。
実際、最初に入れた出資額は200万円。これ、ビジネスをしたことがある人なら分かると思うんですが、「決して安くない」けど「やるならこのくらいは必要」という額。もちろん生活費や飲食代、現地滞在費、通信費などの支出もそこに含まれました。
で、どうなったか?
結論から言えば、200万円は“ゼロ”になりました(笑)。いや、笑えるほど痛かったわけじゃないんです。不思議と後悔はない。なぜなら、それ以上に得たものがあったから。
広島での生活、韓国人社長の考え方、人間関係の難しさ、商談でのリアルなやりとり。これらの経験は、今でも私のビジネスの基盤になっています。
特に、外国人がどうやって日本の商流に入り込んでいるか、その裏側を見ることができたのは非常に大きかった。普通の輸入業者では見られない風景でした。
■ 最後に:本当の“カオス”は次回から始まる。
物語はここで終わりません。実はこのあと、ビジネスは予想以上のカオスへと突入していきます。
登場人物が増え、利害が交錯し、裏切りや対立が渦巻くことになります。ある意味、ビジネス漫画よりもリアルな展開が続くわけですが、それはまた次回。
「どうしてそんなに割り切れたんですか?」
「200万がゼロになって後悔はなかったんですか?」
そういう疑問にも、今後の記事で触れていきたいと思います。
まとめ:金よりも“熱”を得た日々があった
7年前に私が選んだのは、損得勘定よりも“熱”でした。何かを信じて動いた日々、何度も迷いながら、でも確かに得たものがある。
確かに、ビジネス的にはうまくいかなかった部分もあります。出資した200万円は戻らなかった。でも、人として、ビジネスマンとして、大きく成長できたという実感があります。
もし、あのとき挑戦していなかったら、今の自分はありません。
第2話では、広島で巻き起こった“カオスな現場”について赤裸々にお話していきますので、ぜひ続けて読んでいただけたら嬉しいです。