こんな方におすすめ
- 輸入ビジネスを始めたいが、現場のリアルを知りたい人
- 経営や倉庫運営の人間関係に悩んでいる人
- 失敗から再起を図りたい個人事業主
今回は、僕がベトナムで数ヶ月働いた後、日本に戻ってから経験した「倉庫業務」と「人間関係の崩壊」についてお話ししたいと思います。輸入ビジネスをやっている方の多くは、商品の仕入れや販売に意識が向きがちですが、実は“倉庫の現場”こそが物流の根幹であり、リアルな人間模様が集まる場所でもあります。僕自身、かつて100円ショップの卸売業者の倉庫で働いた経験があり、そこからベトナムへ行き、さらに帰国後の半年〜8ヶ月間で大きな転機を迎えました。今回は、その一連の流れを通して見えてきた「組織の限界」と「人間の限界」について、正直に語っていきたいと思います。
100円ショップ卸の倉庫現場で見た“裏側”
僕が倉庫業務に関わったのは、ある100円ショップ向け卸売業者でのことでした。取引先は全国に数千店舗を展開する大手で、毎日のように段ボールが山積みになり、商品の仕分けや検品、出荷作業が延々と続きます。倉庫というのは、表には出ないけれど、ビジネスの根幹を支える重要な現場です。しかし、その中で見えてきたのは、効率化よりも「人の感情」で回っているという現実でした。
ベテラン社員の感情でシフトが変わる、人間関係が崩れると現場全体が機能不全を起こす──そんな不安定さの中で、僕は初めて「チームワークの脆さ」というものを体感しました。個人輸入の世界では、自分一人の努力で完結することが多いですが、倉庫のような組織の現場では、全員の温度感が少しズレただけで歯車が狂っていく。その違いを、身をもって感じた時期でもありました。
ベトナム滞在とビジネスの崩壊
その後、僕は日本側のオペレーションが崩れたことをきっかけに、一時的にベトナムへ渡ることになります。現地では、製造や輸出のサポートをしながら、OEM商品の開発にも関わりました。しかし、その間に日本の会社の経営状態は急速に悪化。もともと融資の返済が逼迫しており、社長が根抵当で数千万円単位の借金を抱えていました。売上が月に三千万〜四千万あっても、利益率が低ければすぐに資金繰りは詰まる。結果的に、商品が売れず、銀行の信頼も失い、倒産という結末を迎えたのだと思います。
今振り返れば、数字だけ見て「うまくいっている」と錯覚していたのかもしれません。どんなに立派な商品を扱っていても、現場が疲弊し、人間関係が壊れ、資金の流れが止まれば終わりです。ベトナム滞在は貴重な経験でしたが、裏で崩れていく日本側を止めることはできませんでした。
日本帰国後に起きた人間関係の崩壊と気づき
帰国後の半年〜8ヶ月は、まさに精神的にも肉体的にも試練の連続でした。かつての同僚たちは疲れきっており、現場にはピリピリした空気が漂っていました。ちょっとした意見の食い違いで口論になり、時には喧嘩寸前まで発展することもありました。人間は追い詰められると、余裕を失い、他人を敵視するようになる──その典型を見た気がします。僕自身も、なぜあのときそこまで感情的になったのか、今となってはわかりません。ただ一つ言えるのは、「張り合う人間ほど不幸になる」ということ。
自分の仕事を黙々とこなす人こそ、最後まで生き残るのだと痛感しました。結果的にその会社は潰れ、僕も離れる決断をしました。今振り返れば、あのタイミングで抜けたことが正解でした。どんなに努力しても沈みゆく船は沈む。無理にしがみつくより、一度離れて新しい環境でやり直す勇気の方が大切だと、心から感じた経験でした。
まとめ
倉庫業務や輸入ビジネスの現場では、商品だけでなく「人の感情」も扱わなければなりません。数字や効率だけで動かない世界に身を置くことで、僕は多くの失敗と学びを得ました。倒産は決して一夜で起こるものではなく、小さな綻びの積み重ねが、やがて会社全体を壊していく。その中で一番重要なのは、人との関わり方と、自分の限界を見極める力です。過去を振り返ると、嫌な経験ほど、今の自分を作ってくれた「財産」だったと思います。